東京高等裁判所 昭和48年(う)2216号 判決
被告人 折竹清司
〔抄 録〕
そこで、所論の当否につき考えると、単に犯罪の成立を否定する無罪の主張が刑訴法三三五条二項の主張に該当しないことは明らかであるが、原審第五回公判調書の記載および原判決書によれば、原審において弁護人は本件起訴にかかる花札遊戯が仮に金額を賭けた賭博であるとしても、偶然に集った仲間が正月遊びとして行ったもので賭金は少額であるから可罰的違法性はなく、刑法一八五条但書の一時の娯楽に供する物を賭したものであるので、賭博罪は成立しないとの主張をしていることが明らかであり、右主張は本件については違法性を阻却する事由があることの主張であると解するのを相当とするから、これに対しては刑訴法三三五条二項に従い判決において明示的に判断を示すべきであるのに、原判決は、犯罪事実、証拠の標目および法令の適用を示しただけで、右の点については何らの判断も明示していないので、原判決には同条項に違反する訴訟手続の法令違反があるといわなければならない。しかし後記のとおり、本件は可罰的違法性がないとはいえず、また刑法一八五条但書に該当するものとは認められないから、右違法は判決に影響を及ぼさないものというべきである。論旨は結局理由がない。
(龍岡 西村 福嶋)